イッキのみは強要したり、はやしたてるだけでも、刑事・民事責任を問われることがあります!
イッキ飲み法律学
監修:浅野 晋 弁護士
イッキ飲みを強要したり、はやしたてるだけでも、刑事・民事責任を問われることがあります。
・ケース1
先輩「さあA、イッキいってみよう!」
Aくん「すみません。飲めないもんで…」
先輩「バカヤロー! 飲まなきゃ殴るぞ!」
Aくん、仕方なくイッキ飲み。
・先輩は……
強要罪(3年以下の懲役)
・ケース2
先輩「わが部の伝統だ。新入生は全員つぶれるまで飲ませるから、覚悟してもらおう! 吐く場所も用意してあるぞ。さあB、イッキいってみよう! みなさん、イッキコールよろしく! それイッキ! イッキ! イッキ!……」
Aくん「イ、イッキ、イッキ、イッキ……」
Cくん「いいぞ、いいぞ!」
Dさん「その調子でもう一杯!」
Bくん、仕方なくイッキ飲み、急性アルコール中毒で病院にかつぎこまれる。
・先輩は……
傷害罪(10年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料)
死亡した場合傷害致死罪(2年以上の有期懲役)
Aくん、Cくん、Dさんは……
傷害現場助勢罪(1年以下の懲役または10万円以下の罰金もしくは科料)
・ケース3
Cくん「先輩、こいつ、ヤバいんじゃないですか。さっきもひどく吐いて、呼んでも返事しないし。救急車を呼んだ方が…」
先輩「ほっとけ、ほっとけ。そのぐらいの酒で死にゃしないって。救急車なんか呼んだら、それこそヤバい。この間も主将が顧問から注意受けてるんだから
Dくん、手遅れで死亡。
・先輩は……
保護責任者遺棄致死罪(3ヵ月以上5年以下の懲役)
☆解説☆
「強要罪」は脅迫して無理やり飲ませた場合。 「傷害罪」は最初からつぶすことを目的に飲ませた場合。 「保護責任者遺棄致死罪」は酔いつぶれた仲間に必要な保護をせず に死に至らしめた場合 。「傷害現場助勢罪」は傷害行為を扇動した場合にあてはまります。
他にも、相手が酒に弱いのを知っていて無茶な飲み方をさせ、急性アルコール中毒になれば「過失傷害罪」、死亡すれば「過失致死罪」に問われることもあります。
また、飲まされて被害を受けた側が、訴訟や調停に持ち込み、損害賠償金を請求するケースも増えています。
飲ませる側の責任は重大。それでもあなたは、「イッキ飲ませ」を続けますか?